2006年01月23日

問題はそれで解決するのか(完結編)

 前回の記事のおさらいです。


 日経新聞の報道によると、
 ・政府は、産業廃棄物と一般廃棄物の区分を見直す方針を固めた

 ・一般廃棄物は処理責任者が市町村だが、再利用のノウハウが乏しい場合
  が多く、リサイクルが進まない一因だった

 ・産業廃棄物の対象拡大で再利用事業者の参入を促し、ごみの減量や
  資源の有効活用につなげることを目的としている



 私も、施策の方向性としては間違っていないと思います。


 しかし、施策を進める根本に、「何でも民間に開放すれば良い」という安易な考えがあるとすれば、大きな問題です。


 なぜか?


 「規制緩和」とは、「行政の責任を放棄し、民に好き放題やらせる」ことではありません。


 「構造計算書の偽造問題」で明らかになったように、行政の権限を民に丸投げするだけでは、公正な市場が形成されない場合があります。


 「清掃法」が改正され、「廃棄物の処理と清掃に関する法律」が施行された際に、
 初めて「産業廃棄物」という定義ができ、
 「産業廃棄物」は事業者自ら、すなわち民が全て処理すべきこととされました。


 日本は資本主義社会ですので、産廃の処理を排出事業者自らが負うのは当然です。
 しかしながら、そのルールを厳格に定めず、なあなあでやってきた結果が、日本各地で深い爪あとを残している「不法投棄」や、それに伴う「水質汚染」「土壌汚染」なのです。


 ここでは、
 公正な市場 = 廃棄物が適切に処理される社会 と定義します。



 これらを前提に考えると、
 今回の、「産廃と一廃の区分を見直す」という政府決定を、手放しで喜ぶことはできません。


 例えば、平成18年2月1日から、「剪定くず」が急に一般廃棄物から産業廃棄物に分類が変わるとします。
 1月31日までは一般廃棄物だったのに、2月1日以降は産業廃棄物となるので、市町村が「剪定くず」の一切の受け入れを拒否することが考えられます。


 すると、2月1日以降は、「剪定くず」を産廃処理業者に持ち込むしかなくなります。


 しかし、持ち込み先である産廃処理業者の施設の処理能力は限られていますので、木くずの搬入の急激な増加には対応できません。


 その結果、処理しきれない「剪定くず」が不法投棄されたり、禁止されている違法な処理をされてしまう可能性が高まります。


 その結果、誰が得をするのでしょうか?
 実は誰も得をしません。


 産廃処理業者は、施設の処理能力を超過する廃棄物を、安全に管理し続けなければなりませんし、
 行政は、不法投棄された廃棄物を、行政代執行で撤去しなければなりません。
 そして、国民は、行政代執行の費用を税金と言う形で負担しなければなりません。


 このように、問題の解決を、民に丸投げしてしまうと、
 公正な市場の形成を今より遅くするだけなのです。


 もちろん、現時点では、市町村が「剪定くず」の受け入れを一切拒否する、と決まったわけではありません。
 あくまでも仮定のお話です。
 しかし、今までの日本の廃棄物行政の実態を考えると、有り得ない話でもありません(笑)。


 そのため、私個人の考えとしては、
 「産廃」と「一廃」の区分を見直すというよりは、
 産廃処理業者に、「産廃のみならず、一般廃棄物を処理する権限を与える」方が望ましいのではないかと思っています。


 しかも、産廃処理業者にその権限を一律に付与するのではなく、
 施設の処理能力、リサイクル技術、財政基盤など、諸々の条件を満たす優良な業者にのみ、その権限を与えるのです。


 そうなれば、処理業者にしてみても、
 新たに、一般廃棄物のコンスタントな搬入を見込めますので、
 やる気のある処理業者にとっては、「事業拡大を図る」というインセンティブが働きやすくなります。


 もしそうなれば、私の仕事も増えそうなので、
 国の方針変更には、かなりの期待をしています(笑)。




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2006年01月22日

それで問題は解決するのか?

 日本経済新聞の報道によると、


 「政府、廃棄物の区分見直しへ・リサイクル促進狙う」


 『政府は、産業廃棄物と一般廃棄物の区分を見直す方針を固めた』そうです。


 その理由としては、
 『一般廃棄物は処理責任者が市町村だが、再利用のノウハウが乏しい場合が多く、リサイクルが進まない一因とされてきた。』
 『産業廃棄物の対象拡大で再利用事業者の参入を促し、ごみの減量や資源の有効活用につなげる。』 ことを目的としているようです。


 実態的には、廃棄物処理の現状の問題点は、政府が認識しているとおりです。


 産業廃棄物と一般廃棄物の区分って何?という方が多いと思いますので、少しご説明します。


 日本で、廃棄物の定義や処理方法を規定しているのは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃棄物処理法」)」です。


 「廃棄物処理法」は第2条において、「廃棄物とは何か?」という定義をしています。
 第2条第2項で、
 「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。 としています。


 つまり、
 「一般廃棄物」=「廃棄物」−「産業廃棄物」ということですね。

 まあ、これは言葉の遊びのようなもので、
 「それに、なにか意味があるの?」という人が多いと思います(笑)。


 産廃と一廃を区別することには、次のような意味があります。


 例えば、
 市町村の焼却施設に、家屋の解体工事で発生した廃棄物を持ち込もうとした人がいたとします。 


 こういった場合、市町村の担当者は
 「それは産業廃棄物なので、ウチ(市町村)では引き取れません!」と言うことができます。
 市町村は、その市町村内で発生した一般廃棄物の処理責任があるだけで、産業廃棄物まで受け入れる義務は無いからですね。


 また、NIKKEI NETに書かれているとおり、
 同じ木くずであっても、産業廃棄物になったり、一般廃棄物になる場合の両方があります。


 それはなぜかと言いますと、
 廃棄物処理法第2条第4項、同法施行令第2条で、
 産業廃棄物の「木くず」とは、『建設業、木材又は木製品製造業、パルプ製造業及び輸入木材卸売業で発生した廃棄物に限る』 としています。
 ※PCBが染み込んだ木くずは、発生した業種に関係なく産廃になります。

 だから、造園業者さんが剪定した枝などは、産業廃棄物ではなく、一般廃棄物になるんです。


 造園業者さんが市町村の焼却施設に持ち込んだ剪定くずは・・・
 リサイクルされることなく、焼却処分される場合がほとんどです。
 (一部の自治体は、剪定くずのリサイクルを推進しています)


 これではもったいない!
 そうだ 法律が悪いんだ!
 法律を変えて、リサイクル技術が進んでいる民間業者にドンドンやらせればイイのだ!


 こういう考えが、政府の根本にあるのだと思います。


 私個人としては、政府のその方向性は正しいと思います。
 しかし、その進め方を慎重にしないと、今よりも悲惨な状況になるのではないかと危惧しています。


 続きは明日



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2006年01月05日

捨てないという英断

 1月4日の日本経済新聞夕刊の報道によると、


・東本願寺(京都市下京区)の御影堂の修復工事で、12万枚もの再使用できない屋根瓦が発生したそうです。


・通常の中間処理(破砕)⇒最終処分(埋立)という方法で、瓦くずを処理すると、2〜3千万円の費用で処理できてしまうそうですが、


・「苦労してお堂を再建した先人の遺産がごみになるのはもったいない」との声が門徒から上がったことを受け、
 1億円という巨費を投じ、INAX(愛知県常滑市)に再資源化を依頼したそうです。


・このほど、同社による再資源化の目途が立ち、
 屋根瓦は、御影堂の床下材や駐車場の舗装材に再利用されることとなりました。



 新年早々、大変素晴らしいニュースでした。


 まず、
 余分な費用が発生するにもかかわらず、屋根瓦を再利用することにこだわった、東本願寺及びその門徒衆の方々の心意気が素晴らしいです。
 「ごみ」ではなく、「先人の遺産」であるという視点が光っています。


 次に現実的な側面として、
 瓦くずのリサイクルを進展させる効果を挙げることができます。

 H15年度の環境省調査によると、
 ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずの最終処分(埋立される)率は38%と、かなり高い数字になっています。

 この数字の意味するところは、
 ガラスくずや瓦くずが「100」出たとすると、「38」がそのまま地中に埋められてしまっているということです。

 この「38」が、最終処分場の残容量の減少を加速させることは言うまでもありません。

 東本願寺の御影堂の瓦くずは全て再利用されましたので、最終処分場の延命に寄与したことになります。

※ちなみに、最終処分場の残余年数は、4.5年しかないと言われています。
 最終処分場が満杯になったら・・・・
 日本中が産廃で溢れかえることになりますね。



 実は、面白い論点がまだ一つあります。
 続きは、今日の20時に発信する無料メルマガ「よく分かる!廃棄物問題」で(笑)。


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2005年12月08日

産廃税導入の本当の目的とは

 久しぶりのメルマガ連動記事です。
 今回は早く書けたもので(笑)。


 産廃1トンあたりに、1,000円を課税するという産廃税
 これを導入する自治体が最近増えています。

 
 地域ごとに導入状況をまとめると、

 北海道  未導入
 東北   青森、岩手、宮城、秋田、福島(山形以外)
 関東   未導入
 北陸   新潟
 東海   愛知、三重
 近畿   滋賀、京都、奈良
 中国   岡山、広島、鳥取、島根、山口(地域内100%)
 四国   未導入
 九州   福岡、佐賀、長崎、大分、鹿児島、熊本、宮崎、沖縄(地域内100%)

 となり、中国・九州地方では、地域全体で産廃税を導入していることが分かります(沖縄県は来年度から導入予定)。


 今日の20時に配送するメルマガでは、


 ・各地で産廃税が導入される真の背景
 ・産廃税の弊害
 ・このままのペースで導入が進めばどうなるか 等を探ります。


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2005年12月01日

PCB廃棄物の収集運搬業許可等に係る説明会

 説明会のタイトルをそのまま書いてしまいました。

 これでは何の説明会か分からないですよね。

 一言で言うと

 PCB廃棄物の処理施設への搬入許可申請手続きの説明会です。



 う〜ん 余計難しくなってしまいました・・・・



 まず、
 PCBとは、ポリ塩化ビフェニール(Polychlorinated Biphenyls)) の略で、絶縁性が高く電気的特性に優れていることから、電気機器の絶縁油としてトランスやコンデンサなどに使用されていました。

 しかし、昭和43年に発生したカネミ油症事件で、人体への有害性が明らかになったため、昭和47年以降は製造中止となりました。

 その後、PCBを使用したトランスやコンデンサなどの所有者には、それを保管し続けることが法律で義務付けられました。

 PCBは自然環境中で分解されにくく、脂溶性といって人体に吸収されやすい性格を有しているため、完全に無害化することが難しかったからです。


 「処理技術ができるまで、持っておきなさい!」ということだったのです。



 平成13年になって、ようやく国主導でPCB廃棄物を処理できる施設が各地で立ち上がりました。(それまでは、製造メーカーが過去の自社製造分を処理する施設を作っていた程度です)

 大阪でも、いよいよ来年の8月から、PCB処理施設が稼動することになりました。



 今日行われる説明会では、その施設への搬入条件や手続きが説明される予定です。

 本当は、産廃処理業者の人が対象のようなのですが、行政書士はその処理業者を支援する立場ですので、是非出席しようと思い、申し込みをしました。



 正直なところ、「無料だからとりあえず出ておこう」という考えしかなかったのですが、

 こうして記事を書いてみると、色々な可能性が見えてきました(笑)。

 やりたい事がまた増えてしまいました。



 PCBに関する情報は、下記の豊田市のHPが分かりやすいです。
 必要十分な情報が盛り込まれています。

 http://www.city.toyota.aichi.jp/pcbkisotisiki/main.htm


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2005年11月20日

石原産業 フェロシルト事件 続報

 新聞報道によると、


大阪市の化学メーカー「石原産業」が、産業廃棄物に当たる土壌埋め戻し材の販売を装って違法に処分したとされるフェロシルト事件。産廃処理であることを明確に裏付けられるかが三重県警の捜査の焦点となっている。』とのこと。


 石原産業のフェロシルトの販売方法が、
 
 一般的な製品の販売にあたるのか、

 製品販売の名を借りた、産廃の違法処分にあたるのかは、

 11月8日と11月9日の記事でご説明したとおりです。


 客観的に見ると、石原産業がしていた行為は、まぎれもなく産廃の違法処分にあたります。

 すなわち、

 フェロシルト1トンを150円で売却する代わりに、

 「用途開発費」と称して、1トンあたり3000円を別途支払っていたからです。

 これでは、フェロシルトを売れば売るほど損になってしまいます。

 そのため、これは販売の形を装った産廃処理であったと判断せざるをえません。


 元々、石原産業は化学メーカーで、酸化チタンの大手メーカーです。

 酸化チタンの製造工程で発生する、大量の廃硫酸を再利用するために、土壌埋め戻し材としてフェロシルトを開発したのでした。

 そして、三重県がフェロシルトを「リサイクル製品」として認定し、石原産業も公のお墨付きを得られたことで、販売活動を活性化しました。
 三重県・岐阜県・愛知県京都府とかなりの広範囲で、フェロシルトが使われていた模様です。


 フェロシルトは、元来が廃硫酸に由来する製品ですが、これも新聞報道によると、

 四日市工場の工場長が、通常よりも大量に廃硫酸を混入したことが大きな問題になっています。


 一般的には、廃硫酸を適正に処理しようとすると、

 1トンあたり10,000円以上の処理費がかかります。

 
 ところが、フェロシルトの販売形式を装うと、

 1トンあたり2,850円の処理費で済んでしまいます。


 10,000円と2,850円のどちらが安いか?

 問題の本質はここにあります。



 正規の許可業者に委託すると高くつくので、製品の販売の形を装って、無許可業者に渡してしまおう・・・

 ということだったと思います。


 
 現在、石原産業本社と四日市工場に家宅捜索をした三重県警が、押収した証拠物件の内容を精査しているところです。


 最新の新聞報道では、石原産業の取締役会議事録に注目しているようです。

 議事録に、「フェロシルトは製品ではなく産廃である」という記載があれば、取締役会=会社自体が産廃という認識を持っていたことになるからです。


 議事録にそのような記載があると、決定的な証拠になります。

 しかし、石原産業自体が、「用途開発費を逆に支払っていた」と既に認めていますので、金の流れを洗えば、立証はもっと簡単にできるとも思います。


 
 一昨日、石原産業の社長が事件の責任を取って退任しましたが、会社自体の業績は好調とのことです。

 本業の酸化チタンの売上げが右肩上がりであるためです。


 今後の捜査の展開を注視したいと思います。



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2005年11月17日

最新版 廃棄物の処理状況について

 11月4日と11月8日に、環境省から最新の廃棄物排出・処理状況の発表
がありました。


 一般廃棄物の排出・処理状況はコチラ

 産業廃棄物の排出・処理状況はコチラ


 前年度と比べて、廃棄物の量は減ったのか、増えたのか?

 今日の20時に配信する、無料メルマガ「よく分かる!!廃棄物問題」では、
 この最新の調査結果の概要をご説明しています。


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2005年11月10日

昨日の記事の補足

 「石原産業フェロシルト事件 その2」の補足記事です。

 補足箇所は、「廃棄物の定義」と「フェロシルトの販売価格」の2点です。



 まず1点目、「廃棄物の定義」についてです。

 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」にはこう定められています。

第2条
 この法律において、「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染されたものを除く。)をいう。


 これは法律上の定義ですので、かなり分かりにくいかと思います。


 そのため、通常はこのように言い換えて理解しています。

廃棄物とは、占有者が自分で利用したり、他人に有償で売却したりできないために不要となった固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染されたものを除く)をいう。



 フェロシルトは、ある時点から、まさに「他人に有償で売却したりできない」ものになりましたので、廃棄物」と断定されたわけです。


 その、「ある時点」というのは、別の製造工程で発生した廃硫酸を、フェロシルトに不正に混入するようになった時点になるでしょうか。
 そのあたりは、今後の捜査で明らかになってくると思われます。



 次に、フェロシルトの販売価格の補足です。

 昨日は分かり易く表現するため、1kg=1万円でご説明しましたが、

 実際の販売価格は

 なんと・・・・

 1トン=150円だったそうです! 

 それに伴う「用途開発費」は、販売価格の20倍なので、

 1トン=3,000円になります。


 この数字を現実に当てはめて考えてみると、非常にリアルな実態が映し出されました。

 通常、大規模な土地造成に使われるダンプは、最低でも10トンダンプです。

 10トンダンプにフェロシルトを満載しても、その購入価格はたったの1,500円
 
 しかし、それをどこかに運んで埋めるだけで、3万円の収入になります。

 差し引き、2万8,500円の利益です。


 ちょうど、ダンプ運転手の日当とガソリン代の合計に近い数字になります。
 これはかなりおいしい仕事と言えますね。回転率も高いですし。


 石原産業にしてみても、一応は製品の売却という形式をとっていますので、
 「産廃の処理委託ではなく、製品の売買だ」と主張できると思っていたようです。


 しかしながら、その理屈が成り立たないことは、昨日の記事で触れたとおりです。
 だからこそ、家宅捜索を受ける事態になってしまったわけですね。


 少し記事の補足をしておきました。



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2005年11月09日

石原産業 フェロシルト事件 その2

 前回の 「石原産業 フェロシルト事件 その1」では、事件発生から、現在までの概要をまとめてみました。



1.H13年8月 石原産業株式会社(本社:大阪市)が、フェロシルトの販売を開始


2.H15年9月 三重県がフェロシルトを「リサイクル商品」として認定


3.H16年12月 フェロシルトに含まれる放射線量が問題となる(住民からの指摘に基づく)
 三重県が石原産業四日市工場に立入調査をするも、フェロシルトの放射線量に問題はなかった。


4.H17年4月中旬 石原産業はフェロシルトの生産を中止


5.H17年6月6日 石原産業が三重県へリサイクル製品認定の取り下げ願いを提出。同日、認定製品リストから削除される。


6.H17年6月9日 岐阜県が、「フェロシルト使用地で、土壌環境基準を超過する六価クロムが検出された」と発表


7.H17年10月12日 石原産業が、「三重県認定の方法とは違うやり方でフェロシルトを製造していた」ことを発表


8.H17年11月5日 三重県が、石原産業を「廃棄物処理法」違反の疑いで刑事告発


9.H17年11月8日 三重県警が、石原産業本社と四日市工場を家宅捜索



 今回は、いきなり事件の核心を突きます(笑)。


 ズバリ! なぜ、石原産業は家宅捜索をされたのか!?


 答えは既に書いていますね。「廃棄物処理法」違反だと。


 では、具体的に、何が「廃棄物処理法」に抵触したのか?


 それは、


 石原産業が、産業廃棄物処理業の許可を持たない無許可業者に、産廃を処理委託したからです。


 昨日の日経新聞夕刊ではこう報じています。
『調べでは、フェロシルトを製造していた石原産業は2002年11月以降、フェロシルトの販売価格の約20倍の金額を、産廃処分業の許可がない同県内の中間処理業者らに支払い、フェロシルト計約13万トンの処理を委託した疑い。』

 ※(尾上注)
 「産廃処分業の許可がない中間処理業者」というのは不適切な用語です。
 無許可業者のことを、中間処理業者とは絶対に言いませんので。
 「資格を持っていない弁護士」というのと同じです。


 新聞報道によると、石原産業側が、製品の売買の形を装い、無許可業者に産廃(と解釈される)のフェロシルトの処分を委託した、ということになります。


 少し、この説明だけでは分かりにくいかもしれません。
 フェロシルトの販売価格を、1kg=1万円として考えてみましょう。


1.石原産業がと業者間で、フェロシルト10kgを売却する契約を結ぶ

2.業者は、石原産業にフェロシルト購入費として、10万円を支払う

3.石原産業は、フェロシルト売却費の受け取りと引き換えに、「用途開発費」として200万円を業者に支払う

    ???????????

 
 ということは、フェロシルトを売るたびに
 石原産業は1kgあたり、19万円の赤字になるじゃないの


 これでは通常の商取引とは言えないですね。
 売れば売るほど赤字になる商品なんて・・・


 実態から見ても、これは産業廃棄物の処理委託であったと言えます。


 よく使われる言い訳で、
 「これは製品として販売しているから、廃棄物じゃない!」というものがあります。


 しかしながら、上で見たような
 販売価格以上の対価を、結果的に相手方に支払う場合は、
 全て 廃棄物の処理委託をしていることになります。


 これは、「廃棄物処理法」を読んでもダイレクトにそう書いてありませんが、
 法律の解釈や裁判の判例で、そのように扱われることになっています。


 言わば、「定説」なのです(笑)。


 ちなみに、廃棄物の処理を無許可業者に委託した場合は、
 廃棄物処理法第25条第4号の規定により、
 「5年以下の懲役若しくは1千万円以下の罰金」に処せられる可能性があります。
 廃棄物処理法で科される、一番重い刑罰になります。


 もし仮に、石原産業が「用途開発費」を別途支払っていなければ・・・


 単なる製品の販売行為になりますので、「廃棄物処理法」違反ではなくなります。
 例え、六価クロムがフェロシルトに相当量含有されていたとしても!


 実際は、多額の用途開発費を支払っていた訳ですから、

・フェロシルトに廃硫酸を混入することにより、廃硫酸の処理費用を浮かすことができた
               ↓
・(偽造?)フェロシルトの危険性を認識していた
               ↓
・フェロシルトを産廃として処分した  という流れではないかと思われます。




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2005年11月08日

石原産業 フェロシルト事件 その1

 最近、「フェロシルト」「フェロシルト」と紙面が賑わっています。


 ん?
 なんだかよく分からんが、産廃を不正に処理したって事件だろ



 毎日欠かさず新聞を読む人でも、こういった感想しか抱かれないのではないでしょうか?


 それも無理はありません・・・・
 新聞報道は散発的で、ともすれば扇情的な主張になりがちですから。


 そこで、
 今日から始まる一連の連載記事で、事件や法律上の問題点に切り込みたいと思います!


 今回は、事件の概要を記しておきます。



1.H13年8月 石原産業株式会社(本社:大阪市)が、フェロシルトの販売を開始

 ※「フェロシルト」とは、「酸化チタン」の製造工程で発生する硫酸廃液を
 再生利用したもので、土壌の埋め戻し材として石原産業が販売していた商品

 (石原産業HPより、抜粋)


2.H15年9月 三重県がフェロシルトを「リサイクル商品」として認定


3.H16年12月 フェロシルトに含まれる放射線量が問題となる(住民からの指摘に基づく)
 三重県が石原産業四日市工場に立入調査をするも、フェロシルトの放射線量に問題はなかった。


4.H17年4月中旬 石原産業はフェロシルトの生産を中止


5.H17年6月6日 石原産業が三重県へリサイクル製品認定の取り下げ願いを提出。同日、認定製品リストから削除される。


6.H17年6月9日 岐阜県が、「フェロシルト使用地で、土壌環境基準を超過する六価クロムが検出された」と発表


7.H17年10月12日 石原産業が、「三重県認定の方法とは違うやり方でフェロシルトを製造していた」ことを発表


8.H17年11月5日 三重県が、石原産業を「廃棄物処理法」違反の疑いで刑事告発


9.H17年11月8日 三重県警が、石原産業本社と四日市工場を家宅捜索



 だから〜 フェロシルトに六価クロムが含まれていたのが問題なんだろ!


 それも確かに大きな問題ですが、家宅捜索される理由は他のところにあります・・・


 実は・・・


 今回の捜査は、フェロシルトに六価クロムが入っていたかどうかは無関係なのです。


 続きは次回! 



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 産業廃棄物収集運搬業のことなら 「よく分かる!!産業廃棄物処理業」
posted by 尾上雅典 at 20:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする